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内科系疾患 [貴方の病気のタイプ]


11 便秘

便秘とは、排便周期が延長したり、糞便が乾燥して滞り排出困難になったり、便意はあっても排便がスムーズでないものをいいます。便秘を治療しようとしたときに注意すべき点は、急にひどくなったものと習慣性のものとを分けて考える必要があることです。通常、東洋医学で治療する対象となるものの多くが急性のものですので、それに使う漢方薬(例えばタケダ漢方便秘薬で使っている大黄甘草湯など)を長期的に服用するのはあまり薦められることではありません。

 

便秘のおもな病証タイプ分類には、実証に属す「実熱タイプ」「肝鬱タイプ」「食滞タイプ」と、虚証に属す「血虚タイプ」「気虚タイプ」「陽虚タイプ」があります。

虚実の特性では、実証に属すものは急に症状がひどくなり、お腹の張りが比較的強く、患部を押すといやな感じがします(拒按という)。これに対して、虚証に属すものは慢性的で、お腹の張りは比較的弱く、患部をなでたり押さえたりすると気持ちよく感じます(喜按という)。

 

実熱タイプ:辛いものの食べ過ぎなどで胃腸に熱が鬱積することによって起こるタイプです。便は、熱によって乾燥し、硬く排泄できない状態になっています。また、感冒の中期に熱が胃腸にこもって急に便秘になったという場合もこのタイプに含まれます。便秘以外にも咽が渇く・口臭が強まるなど、胃腸の熱による症状を伴います。

 

肝鬱タイプ:ストレスや緊張が原因して起こるタイプです。例えば、学校の先生で、夏休みの間は問題なかったが、2学期が始まったとたんに便がスムーズに出なくなったというような人の場合です。緊張による気の滞り(肝気鬱結)が影響して、腸の蠕動運動がスムーズに行われなくなるために起こります。お腹全体に張り感があり、便意はあってもすっきりと便が出ません。また、ガスも多くなりますが、それほど臭いは強くありません。

 

食滞タイプ:過食により消化しきれない食物が停滞することによって起こる便秘です。お腹の膨満感が強いほか臭いの強いガスが出ます。

 

血虚タイプ:血液や津液が不足しているために、便や腸の中の潤滑液が乾燥して、便が滑り出なくなって起こるタイプです。痩せ気味の人や貧血ぎみの人に多くみられるほか、出産時の大量出血や月経過多などによって血が消耗した人や、嘔吐や下痢が続いて脱水状態になった場合にも起こります。特徴としては、数日程度排便がなくてもお腹はあまり張らず、排便時にはウサギの糞の様に硬くコロコロしたもの(兎糞状便)しか出ません。

 

気虚タイプ:気が不足していて、便を押し出す力が足りないために起こるタイプです。疲労や胃腸の慢性病などによって気が消耗することで起こります。特徴としては、便はむしろ軟らかく、またお腹に力が入らないため排便に時間がかかり、排便後に疲労感が強まります。

 

陽虚タイプ:胃腸を温める力が不足しているため、腸が冷えて固まり蠕動できなくなり、排便力が不足することによって起こるタイプです。加齢による陽気の衰退や、冷たい飲食物の摂り過ぎのほか、大病などで陽気が激しく消耗することによって起こります。特徴としては、お腹を触ると冷たく、通常の下剤を服用すると下痢とともに腹痛を起こしやすくなります。

 

 

ほかの一般的な症状については、肝鬱タイプは臓腑の「肝胆の病証タイプ」、血虚タイプ・気虚タイプ・陽虚タイプは「気血津液の虚証」で紹介していますので、そちらを参照してください。

 

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