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内科系疾患 [貴方の病気のタイプ]


2 咳嗽

咳嗽は、肺を中心とした臓腑の失調で起こる疾患です。咳は肺の気が上逆(本来下方へ向かうものが上方へ逆流すること)して起こる症状をいい、嗽は肺の中に溜まった痰を出そうとする症状をいいます。一般には両方が入り混じってセキが出るため、合わせて咳嗽といわれます。

 

咳嗽を起こす病証タイプには、感冒初期のものと慢性的なものとがあります。このうち感冒初期のものは、外邪の種類によって風寒タイプと風熱タイプおよび燥邪タイプに分かれます。慢性的なものには、実証に属す痰濁タイプ・肝火タイプと、虚証に属す陰虚タイプ・気虚タイプがあります。症状の大まかな特徴としては、感冒初期のものと慢性的の実証に属すものでは、比較的激しいセキが起こります。これに対して慢性の虚証に属すものは、あまり激しいセキではないけれど、長引いて直りにくく、疲れると症状が悪化しやすいという特性があります。

本項では、これらのうち一般によく見られるタイプについて紹介します。尚、咳の特徴以外の一般症状は、基礎知識の項目にある気血津液の症状を参考にしてください。

 

風寒タイプ:セキは、冷たい外気を吸い込むと出やすく、透明な痰が出ます。一般の感冒症状を伴いますが、鼻水の色も透明で、比較的さむけが強いのがこのタイプの特徴です。

 

風熱タイプ:セキは、暖房の効いた部屋に入ると出やすく、黄色い粘った痰が出ます。一般の感冒症状を伴いますが、鼻水の色も黄色く、咽の痛みや高熱が出やすいのがこのタイプの特徴です。

 

燥邪タイプ:秋の空気が乾燥し出した頃にカゼを引いて、それによって起こるセキです。セキの音は乾いていて、痰があまり出ないカラ咳で、咽や鼻の乾燥も強いのが特徴です。

 

痰濁タイプ:セキの特徴は、痰の量が多いことで、場合によって痰が出るのに伴ってセキが出るようになります。このタイプの中には痰が熱化して「痰火」といわれる病証になっているものもあり、この場合は痰の色が黄色や緑色になり、飲酒や油物などを飲食することで悪化しやすくなります。

 

気虚タイプ:体力のない人がカゼをこじらせたり、痰濁が長期間続いて次第に肺気や脾気を消耗したりするとこのタイプの咳嗽が起こります。慢性的にセキが出て、活動したり肉体的に疲れたりするとすぐにひどくなるのが特徴で、痰の色は透明です。さらに気虚が主に肺にある場合は、カゼを引きやすく、肺活量が落ちて声が小さい・息切れしやすいなどが見られます。これに対して気虚が主に脾にある場合は、食欲不振・全身倦怠・軟便で下痢しやすいなどの症状が見られます。

 

陰虚タイプ:塵肺などを長期に患っていたり、風熱や燥邪のセキが慢性化したり、あるいは陰虚体質の人の過労などで起こるセキです。慢性的で痰は少なく、布団に入って温まると悪化するので、夜間にもセキが出るのが特徴です。咽が乾燥していて粘膜が傷つきやすいので、痰に血が混じることもあります。一般的な段階では、陰虚は肺のみにある「肺陰虚」という病証ですが、年齢が高まると陰虚が腎にまで及んで「肺腎陰虚」という病証に発展します。

 

最後に、タバコの吸い過ぎは、その人の体質によって痰濁・痰火・気虚・陰虚などのいろいろなタイプを起こす可能性があります。

 

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