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内科系疾患 [貴方の病気のタイプ]


7 頭痛

頭痛は日常よく起こる自覚症状です。東洋医学で頭痛の項目で治療をしようとするときに重要なことは、頭痛が主訴であることです。もし、頭痛が何か別の病気の随伴症状として現れる場合は、その病気について鑑別するときに、頭痛をその鑑別材料に入れます。これによって病証タイプを鑑別し、それにもとづいて治療すれば、頭痛にも効果が現れます。そこで、ここでは頭痛が主訴のものについて紹介していきます。

一般に、頭痛は感冒による外感性のものと、慢性的な内傷性のものとに大別できます。

 

(1) 外感性の頭痛

さらに、「風寒タイプ」と、熱性の感冒で起こる「風熱タイプ」に分けられます。一過性のため、多くは市販の風邪薬でもかまわないのですが、西洋薬だと胃腸が荒れる人などが、東洋医学の治療を希望するケースが多いようです。風寒タイプにはさらに湿気が影響する「風湿タイプ」があります。

 

風寒タイプ:冷えやさむけの強い感冒で起こる頭痛です。熱は出ても高熱ではなく、咳や鼻の症状を伴う場合は、痰や鼻水の色は透明です。風湿タイプの場合は、天候や低気圧の影響を受けやすく、慢性化すると内傷性の中の痰湿タイプに移行します。

 

風熱タイプ:熱性の感冒で起こる頭痛なため、暖房が効いた部屋に入るとかえって具合が悪くなりやすく、頭を冷やすと楽になります。咽が腫れて痛みやすく、痰や鼻水は煮詰まって黄色く粘ったものになります。

 

 

(2) 内傷性の頭痛

これはさらに、実証に属す「肝陽タイプ」「痰湿タイプ」「瘀血タイプ」と、虚証に属す「気血両虚タイプ」「腎虚タイプ」と分けられます。実証に属すものに共通する痛みの特性には、急激に起こる・痛みは比較的強い・拒按などがあり、虚証に属すものに共通する痛みの特性には、どん痛で激痛ではない・慢性的に長く続く・喜按などがあります。

 

肝陽タイプ:ストレスや精神の抑鬱および過剰な興奮などの原因で、肝陽が亢進して頭部の経絡に気滞が起こることによって、脹った感じの頭痛が発症するのがこのタイプです。高血圧・耳鳴り・肩こりなど上半身に気血が鬱滞して起こる症状を伴いやすく、このほかイライラ・ため息・口が苦く感じるなどの気滞による症状と、人によっては咽の渇き・目の充血・舌の色が赤く黄色い苔があるなどの熱症状が見られます。

 

痰湿タイプ:食事の不摂生や飲酒の過度などによって生じた痰湿が頭部に滞って、重だるい頭痛が発症するのがこのタイプです。低気圧が近づいたり雨が降ったりすると頭痛が誘発されるほか、胃腸の張り・食欲減退・よく痰が出る・浮腫など痰湿の一般的な症状を伴います。

 

瘀血タイプ:打撲など頭部の外傷歴を持つ人や、ストレスによって生じた気滞が長期化して瘀血を形成する(気滞血瘀という)ことによって、刺すような頭痛が発症し、ひどいと夜間に痛みで目が覚めるようになるのがこのタイプです。このほかでは、目にくまができる・唇や舌が紫色・口が乾燥するが水分は欲しない・女性では生理血に塊が多いなど瘀血による一般的な症状を伴います。

 

気血両虚タイプ:疲労によって気血が消耗したり、あるいは脾胃が不調で食欲が低下したりすることがきっかけとなって、慢性的などん痛が起こるのがこのタイプです。なかには胃腸が弱く内臓下垂があり、気血を頭部に上げる力が弱いことが、頭部の栄養不足の原因となって発症する人もいます。ちょっと疲れただけでもすぐに症状が出て、休憩して横になると軽減しやすいのが特徴です。このほかでは、倦怠感や疲労感・息切れ・汗かきなどの気虚症状と、めまいや立ちくらみ・唇や爪の色が淡い・女性では生理が遅れたり止まったりするなどの血虚症状を伴います。

 

腎虚タイプ:睡眠不足や過剰な性行為、または老化や腎臓の慢性疾患などで腎精が消耗して、脳髄を栄養できなくなり、慢性的などん痛が起こるのがこのタイプです。一般に夕方からひどくなり、熟睡した朝は軽くなるのが特徴です。このほかでは、足腰がだるい・耳鳴りや難聴・夜間尿などの腎精不足の症状と、人によっては目のかすみ・手足のひきつり・めまいなどの肝血不足の症状や、不眠・咽の乾燥・寝汗・手足のほてりなどの陰虚症状を伴うことがあります。

 

 

頭痛では、痛みの部位を経絡的に分類することもあり、側頭部の痛みを「少陽頭痛」、後頭部の痛みを「太陽頭痛」、前頭部の痛みを「陽明頭痛」、頭頂部の痛みを「厥陰頭痛」とそれぞれ呼んでいます。治療に際して、処方の中に関連する経絡に治療効果を誘導するための生薬やツボを組み込むことで、これに対応します。

 

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