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婦人生理 [東洋医学の基礎知識]

Ⅳ 婦人生理

1 女性の一生と身体の変化

婦人科の病気をみていくときには、年齢による女性の身体の推移を知り、本来あるべき正常な姿と比較しながら分析することが求められます。そこで最初に、女性の年齢による身体変化を「初潮期」「発育期」「成熟期」「更年期」の4つに分けて紹介します。

 

(1)初潮期

腎は「先天の本(根本という意味)」とされますが、これは自分自身が誕生するもとになった両親の生殖エネルギーである「先天の精気」を受け継いで、それを腎に「腎の精気」(腎精と腎気の総称)として貯蔵しているからです。

人は、成長が順調だと、一定の年齢になると、腎の精気のうちの「腎気」が「天癸=てんき」という生殖のエネルギー生み出し、これによって生殖器に栄養が運ばれるようになると「腎精」が卵子や精子を作り出すようになります。女性では、それが12歳前後で起こり、「女子胞=じょしほう(卵巣を含めた子宮機能を表す)」に行き渡る血が豊富になって初潮を迎えます。

月経血は、もし妊娠していれば胎児の育成に使われていたはずが、妊娠していないために不要となり流れ出すものですが、女子胞自体が生み出せるものではありません。血の生産や貯蔵に関与している脾や肝などから、人体前面の中央を流れる「衝脈=しょうみゃく」と「任脈=にんみゃく」(合わせて「衝任脈」と称される)という経絡を通して運ばれるものです。このとき天癸は、衝任脈を盛通(広げて通りを良くすること)し、血が女子胞へ流れやすくするよう働きます。つまり、初潮期以前の幼少期では、臓腑がいくら血を作っても、天癸が衝任脈を盛通しないため、女子胞に血が十分に運ばれることはなく、月経は起こらないのです。

 

(2)発育期

初潮から、身体が成熟する20歳前後までの間が、この「発育期」です。

この期間では、腎精と腎気は互いに増やし合いながら発育していき、やがて成熟期に達します。詳しく言うと、まず飲食物から吸収した栄養分から作られる「後天の精」という物質を原料に、腎気が腎精を生み出します。そして、腎精はその一部が腎気に変化するといった具合に相互に増やしあって、次第に充足度を高めていくのです。

つぎに、「気は陽に属し、精血は陰に属す」とされていますが、腎精と腎気は、人体の根本的な陰陽である「腎陰(先天の陰ともいう)」と「腎陽(先天の陽ともいう)」を生み出していますので、発育期では腎の精気の充足にともなって陰陽も均等な状態に成熟していきます。

 

(3)成熟期

20歳前後から35歳前後までが、この期間です。順調な発育のもと、身体は腎の精気が旺盛になり陰陽バランスも整うため、妊娠・出産にもっとも適した期間とされます。

 

(4)更年期

現代医学的にも35歳を超えた出産を高齢出産と呼んでいますが、中医学でも35歳を過ぎると腎の精気の衰えが始まり、徐々に妊娠に適さない状態になっていくと考えています。

そして50歳前後になると、腎の精気の衰えが天癸を生産できなくなる状態にまで進みます。こうして天癸が枯渇すると、衝任脈が不通となって生理が来なくなります(これを「絶経」という)。

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