コンセプト

  • ホーム > 学習コーナー > 婦人生理

学習コーナー

婦人生理 [東洋医学の基礎知識]


3 月経の周期②

ここでは、4つの月経周期について、順に紹介します。

 

(1)月経(中医婦人科では「行経期」という)

月経が来て、経血が流れ出ている期間のことで、通常5~7日間ほどです。

女子胞に運ばれてくる血は、胎児を育成したり子宮内膜を厚くしたりして、妊娠していたときに、それを維持するためのものです。そのため、妊娠していなければ、やがて不要になって排泄されることになりますが、これが月経血です。

五臓には精血を蔵する働き(貯蔵し、さらに貯蔵物を調整する働き)があるため「臓」という文字がついていますが、子宮にはそうした機能がないため、溜まっている時間が長くなると、生理的な働きができないものに変わってしまうのです。日本でも、古来よりこうした血を「古血(ふるち)」と呼んでいました。こうしたことから、子宮に溜まった血は体内に戻って再度循環されるものは少なく、その多くは月経血として排泄されるのです。

 

(2)低温(中医婦人科では「経後期」という)

月経期の後から排卵するまでの期間で、出血して空になった女子胞に気血が回復し、それによって生殖に関わる陰陽が充足していく時期です。通常は月経後7日間ほどです。

気血の回復は、出血した血を補うため、先ず血から始まります。体内から血が運ばれてくると、それに乗って気も運ばれてくるので、血に続いて気も増えていきます。血は元々陰に属す物質であるため、女子胞に運ばれた血は、生殖に関与する「先天の陰」を生み出します。同じように気は陽に属す物質であるため、女子胞に運ばれた気は、生殖に関与する「先天の陽」を生み出します。ただし、陰血のほうが先に回復してくるので、この期間の体温は低くなるのです。

   

(3)排卵(中医婦人科では「経間期」という)

排卵日前後の期間をいいます。通常、月経の第1日目から数えて14日目前後です。

低温期の間に気血陰陽の回復が進み、この栄養を使って卵子が生育してくると、やがて排卵期を迎えます。回復は陰血が優先するわけですが、これが充足してくると陰が陽を生めるようになるため、排卵を境に陽気が充実し、それが基礎体温の上昇となって現れ、高温期を迎えます。

通常では、排卵は月経初日から数えて14日目前後に起こりますが、何かの疾病やダイエットなどで陰血が不足したり、元々陰虚体質や血虚体質だったりする人の中には、排卵に時間がかかり、月経周期全体としても遅れてしまう人が多く見られます。

 

(4)高温(中医婦人科では「経前期」という)

排卵後から月経が始まるまでの、通常14日間ほどの期間です。

この時期は妊娠していた場合の準備として、胎児や女子胞を栄養しやすい環境作りがなされる時期です。先天の陽が充実しているため、腎気およびそれから生み出される生殖の気(天癸=てんき)が盛んになって、子宮に気血を運ぶ衝任脈の通りがよくなります。そうして運ばれた気血が、胎児や女子胞の栄養に使われるのです。

しかし妊娠していないと、運ばれた気血は不要になって、次の月経が始まります。

この期間に先天の陽が不足していて基礎体温が上がらない人の中には、冷えて輸卵管や衝任脈の流れが悪く、受精しにくかったり受精しても受精卵が生育されない等で、不妊になりやすい人も多く見られます。

 

固定ページ: 1 2 3

記事一覧へ