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婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]


3-3 不妊症③

不妊症の病証タイプ(虚証タイプ)

陽虚タイプ:このタイプの不妊は、先天的に陽気が不足しているために、幼少期から体が冷えて疲れやすい人か、または実証タイプの中の寒邪タイプが慢性化して、身体を温める力が弱まった人に起こります。特徴としては、下腹部が触ると冷たく、月経血は淡い色で希薄な感じで、透明で水っぽいおりものが出る人もいます。症状の多くが寒邪タイプに似ていますが、こちらのタイプの特徴は、月経痛があまり強くないところです。

また、周期の乱れは、高温期に体温が上がらないか、上がっても安定しないというものが多く見られます。そのため排卵までの低温期が長引いて月経が遅れがちになる人が多く、ひどいと月経が止まってしまいます。(そのほかの全身症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」中の陽虚を参照)

このタイプの治療では、温めて陽気を補うための漢方薬やツボを選択します。但し温める作用を強めに行う場合は、月経後半から月経直後の期間は注意が必要です。排卵期までは陰血を補充しなければならない時期なので、一方的に温めてばかりでは、かえって陰血を消耗してよくありません。そこで、この時期だけ陰血の補充を組み合わせます。また、冷えによって血行が悪く、排卵傷害や月経痛がみられるような場合は、排卵期や月経期の直前だけ血行を促す治療を組み合わせます。

 

陰虚タイプ:高熱が長く続いたり性行為の過剰などによって、陰血が消耗することで起こるタイプで、排卵までの期間が短く全体的に月経が早まる・低温期に体温が下がらない・または下がっても安定しない、などの周期の乱れが見られます。月経直後は子宮内が空になっており、陰血が回復するのに伴って卵子が成長していく時期ですが、このタイプのように排卵までが短くなると、卵子の生育が十分でないため妊娠には至りません。そのほかの特徴として、月経血は濃い紅色で量は少なめ・痩せ型で手足がほてる・夜間に咽が乾燥する・寝つきが悪く夢が多い、などの陰虚による症状(基礎知識の「気血津液の虚証」中の陰虚を参照)を伴います。

このタイプの治療では、陰血を補って身体が熱性に偏らないようにするための漢方薬やツボを選択します。とくに月経後半から排卵期までの時期に集中的に治療を行うのが効果的です。

また熱が強いタイプで不正出血がみられるような人では、熱を取り除いて陰血の消耗を防ぐことも考慮した方がよいでしょう。

 

血虚タイプ:このタイプは、幼少期から痩せていて貧血気味の人、あるいは出産や流産などによる大量出血があったり、急激なダイエットなどで血の生産が足りなくなったりした人に見られ、血が不足して子宮内膜や卵子が栄養できないために不妊が起こります。月経の特徴としては、月経が遅れやすい・月経血は淡く量は少なめ・月経痛はどん痛でお腹の張りは少ない、などが見られ、このほかに血虚の症状を伴います。(血虚症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」中の血虚を参照)

このタイプの治療では、陰虚タイプと同様、とくに月経後半から排卵期の間に陰血を補うようにしますが、血を生産する脾気などの虚弱が見られる人も多いので、その場合はさらに脾気も補います。

  

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