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婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]


-1 不育症(習慣性流産)

1)中医学における不育症の考え方

不育症は、中医学では、妊娠後12週~28週の間で受精卵や胎児が自然に死んで堕胎することが連続して3回以上起こるものとしており、「滑胎」と称しています。

中医学では、妊娠が維持されるためのファクターとして、先天の源である腎・後天の源である脾気などの働きによって、子宮や胎児に先天の精気や食べ物からの栄養物が補給され、陰陽が調和し、さらに胎児を子宮内に留める固摂という働きが機能することなどを挙げています。これらが不十分であったり、最初の流産などでどこかの機能にひずみが生じたりすると、機能が回復する前に妊娠を繰り返しても、妊娠を維持できることができずに、反復して流産してしまうというのが、この不育症なのです。

最近、習慣性流産にも有効な薬があるという話題がマスメディアに報じられましたが、全員に有効というわけではありません。中医学では、この失調してしまった身体の機能を回復しないかぎりは、妊娠はしやすいが胎児が育たないため、半年以上の期間は避妊をして回復に努めるように、としています。もし、服薬してもうまくいかない場合は、思い切って時間を作り、まず回復を前提とした中医学の治療を受けることをお勧めします。

 

2)タイプ分類と治療の方針

妊娠が継続されるファクターには「先天の源である腎」「後天の源である脾気」などがあると前述しましたが、全ての人がみな同じ原因で不育症になっているわけではなく、各人によって失調の中心が異なりますので、まずは自分の病証タイプを知ることから治療を始めなければなりません。

主な病証タイプには、脾腎両虚タイプ・気血不足タイプ・陰虚タイプなどがありますが、このうち最も判別に注意しなければならないのが、陰虚タイプです。一般に不妊や不育症の治療にお灸などの温める方法が用いられやすいのですが。この陰虚タイプだけは熱証に属しますので、逆に病能が悪くなってしまうことがあるからです。

そこで、今回はその陰虚タイプから紹介します。

 

①陰虚タイプ:このタイプは先天的に陰虚といわれる体質に属している人が、過労が重なっている中で妊娠するか、あるいは妊娠後も過剰に性行為などをして、陰精や陰血が消耗したために、それが胎児の育成に回らず不育症に至ります。

先天的な陰虚の体質であることを生理で見極めるには、生理の周期が早まりがち・月経血は赤みが濃いが量は少なめ・月経痛は強くないが腰がだるく痛む・お腹の冷えは少ない・人によって排卵時出血がある、などの特徴に注意してください。

このほかの一般的な特徴は、痩せ型で手足がほてる・夜間に咽が乾燥する・寝つきが悪く夢が多い・疲れると夕方から夜に微熱が出たり寝汗をかいたりする・舌質は赤いが苔は少ない・めまいが出やすい・小便の色が濃く大便が乾燥して便秘しやすい、などです。

治療では、陰血を補充して育胎が可能な体質に戻すようにしますが、特に上記にある月経の特徴を持っている人は、それが改善してきてから次の妊娠をすることが望まれます。

 

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