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婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]

1 生理痛

生理痛は中医学では「痛経」といわれ、いくつかのタイプに分けて治療がなされますが、そのうちよく見られるものには、寒湿タイプ・肝鬱タイプ・瘀血タイプ・陽虚タイプ・肝腎不足タイプなどがあります。

このうち、寒湿タイプ・肝鬱タイプ・瘀血タイプは実証に属すため痛みは比較的強く、陽虚タイプ・肝腎不足タイプは虚証に属すため一瞬一瞬の痛みはあまり強くはありませんが、どん痛が長時間持続します。このほか、実証に属すタイプに共通する特徴は、患部を押すと痛みが強まっていやな感じがしますが、虚証に属すタイプでは、患部をなでると気持ちよく感じます。

これ以外の個々のタイプの特徴は次の通りですので、自分のタイプを見分けて予防や対処につなげて下さい。

 

寒湿タイプ:月経時に冷たい物を飲食したり、薄着をして冷やしたりすることによって、気血のめぐり(特に衝任脈の流れ)が悪くなって起こるタイプです。実証の痛みの特徴に加えて、下腹部が触ると冷たく、温めないと痛くてしかたがないという状態になります。これに湿邪が加わるタイプではさらに、透明なおりものが多く出るようになります。

 

肝鬱タイプ:ストレスや緊張が肝の疏泄(リラックスを促す作用)を障害し、気血のスムーズな流れ(特に衝任脈の流れ)を阻滞することによって発痛するタイプです。実証の共通特性以外の痛みの特徴は、気滞があるため痛みより脹り感の方が強く感じられることです。月経前には、イライラと乳房の脹りが強まるのもこのタイプの特性です。

 

瘀血タイプ:難産や流産などで、循環の悪い血(瘀血)が子宮や衝任脈に滞っているタイプです。このほか、肝鬱タイプが長引く人の中には、気滞に加えて瘀血も伴うようになって、このタイプに至る人もいます。このタイプに見られる、実証の共通特性以外の痛みの特徴は、毎回同じ所が刺すように痛み、月経血に大きな血の塊が混じり、血塊が出た後は痛みが軽くなることです。子宮筋腫がある人に最も多いのがこのタイプです。

 

陽虚タイプ:幼少期から寒がりで、身体を温める力が弱い人に起こりやすいタイプです。このほかでは、上記の寒湿タイプが慢性化したり、加齢することによってもこのタイプに移行します。痛みは、虚証の特徴に加えて、月経時には下腹部から全身的にも冷えが強まり、腹部や腰部を温めないと痛みが和らぎません。おりものも透明で水っぽいことが大半です。

 

肝腎不足タイプ:もともと体質的に痩せていたり貧血気味の人で、初潮のころからどん痛に悩まされている人は、ほとんどこのタイプといっていいでしょう。このほかでは、出産時の大量出血・過剰な性行為・急激なダイエットなどで腎精や肝血が消耗することによっても起こります。痛みは、虚証の特徴に加えて、経血が少なくなった月経後半になってもどん痛が続く傾向があります。

 

 

ほかの一般的な症状については、寒湿タイプと瘀血タイプは「気血津液の実証」、肝鬱タイプは「肝胆の病証タイプ」、陽虚タイプは「気血津液の虚証」、肝腎不足タイプは「その他の主な臓腑の協調活動」で紹介していますので、そちらを参照して下さい。

 

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