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慢性疲労 [貴方の病気のタイプ]

慢性疲労

中医学では、慢性疲労に陥り自力では回復できないものを「虚労」または「虚損」と呼び、多種の慢性的な衰弱によって現れる症候の総称としています。

一般の病気でも慢性化して体力や抵抗力が減退してくると虚証に移行しますが、こうした段階では、最初に患っていた症状(主訴)が他の症状よりも突出しているため、虚労(慢性疲労)とはいいません。虚労の場合は、どれかの症状が特にひどいという場合は少なく、消耗している気血陰陽による一連の症状が、ある程度平均的に現れるのが特徴です。

 

1.虚労の総論

1-1 原因

虚労の原因には、大きく分けて①先天的な体質の虚弱・②過労による五臓の消耗・③飲食の不摂生による脾胃の消耗・④大病後の回復時の調整不足、という4つがあげられます。

 

①遺伝的に虚弱な体質の人や、妊娠中または幼児期に栄養状態が良くなかった人は、体質的に病気になりやすく、病気になるとますます虚弱が進んで、自力での回復ができない状況に陥り慢性疲労状態に至ります。

 

②働きすぎなどによる肉体的な疲労(「労力過度」という)・考えすぎや思い悩むことなどによる精神的な疲労(「思慮過度」という)・過剰な性行為による疲労(「房事過度」という)などは、関連の深い五臓の気血を消耗し五臓の機能を低下させます。これが長期に渡って繰り返されると、自力では消耗を回復できなくなり慢性疲労状態に至ります。

中でも思慮過度と労力過度による心脾の損耗、早婚多産・高齢出産・房事過度による腎の損耗が比較的多く見られます。

 

③ダイエットなどによる栄養不良・長期間の偏食・お酒の飲みすぎなどは、脾胃に負担をかけ働きを弱くします。これによって脾の気血を生産する機能が低下すると、体内の気血が不足してしまい、五臓を栄養できなくなります。こうした状況が長期に渡ると慢性疲労状態に至ります。

 

④大病を患うと気血津液などの正気が大幅に消耗します。この後の静養が不十分だったりすると、自力で正気を回復できない状況に陥って慢性疲労状態に至ります。

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1-2 タイプ分類

虚労の分類は、消耗している気血陰陽によるものと、機能減退を起こしている五臓の違いによる五労(「肝労」「心労」「脾労」「肺労」「腎労」)とがありますが、ここでは症状が類似する前者をもとに、「気虚・血虚・陰虚・陽虚」に分けて紹介します。

 

気血陰陽の消耗の中では、気虚によるものが最もよく見られます。気虚による虚労では肺労と脾労が多く、ほかに心労と腎労があります。血虚による虚労は心労と肝労及び脾労に見られますが、脾労は脾気虚による生化不足が根底となっており、多くの場合心脾両虚のかたちで現れます。陰虚による虚労は、五臓のどれにも起こるため、比較的よく見られるほか、病状が進むと気陰両虚や陰陽両虚といった重く複雑なものになります。陽虚による虚労は、気虚による虚労が発展して起こり、心労・脾労・腎労に見られます。ただし肺労は気虚が進んでも気陰両虚になりやすいため、陽虚の虚労とはなりません。

 

このほか「五労所傷」といわれる、日常動作の過剰が及ぼす消耗が古典には紹介されています。それは「目を酷使すると血を傷める、横になりっぱなしでいると気を傷める、座りっぱなしでいると肉を傷める、立ちっぱなしでいると骨を傷める、歩きすぎると筋を傷める」という内容です。こうしたものは通常ではあまり起こりませんが、職業などで過剰な動作を強いられている人は注意してください。

 

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