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臓腑 [東洋医学の基礎知識]

7 複数の臓腑が協調して行う生理活動 (1) 精神活動に関与する臓腑(心・脾・肝) 精神活動は、その活動を中心的に担う心神(心とそれに蔵される神明)と、これにリラックスをはかる肝の調節、さらに栄養供給する脾とが関わって行われるとしています。 心は神明を蔵して心血によってこれを滋養し、心気によって神明の活動を制御します。 脾の栄養供給は、脾が運化作用によって飲食物(水穀)から生化した血を、心に運んで心血を補充することでなされます。 肝は血の補充とストレスの解放という2方面で心神の調節に関与します。心血は、脾の生化した血以外にも肝が蔵血によって貯蔵している血からの補充を受けることで、安定した神明の滋養を行うことができます。また肝の疏泄作用は、心神がリラックスして精神活動できるように気の流れを調節します。 以上の関係から、精神活動が関係する疾病は、心単独の失調のほか、脾や肝が関連する臓腑失調によっても発生します。その主な病証には「心脾両虚証」「心肝血虚証」「心肝火旺証」があります。   心脾両虚証は、脾気虚によって運化作用が低下し、生血不足のために心神を滋養できないことが原因となって起こります。そのためこの病証では、不眠や心悸・精神不安などの心血虚証による症状と、食欲不振・軟便・悪心嘔吐・むくみ・倦怠感などの脾気虚証の症状とが同時に現れます。   心肝血虚証は、肝血虚により貯蔵した血が不足し、心血も不足となって心神を滋養できないことが原因で起こります。そのためこの病証では、不眠や心悸・精神不安などの心血虚証による症状と、目のかすみや乾き・めまい・筋肉のひきつり・月経の遅れなどの肝血虚の症状とが同時に現れます。   心肝火旺証は、肝の疏泄が失調して肝気が鬱結し、さらに熱化して発生した肝火が「火」の臓である心に影響して、同時に心火も引き起こすことが原因で起こります。そのためこの病証では、不眠や心悸・心煩・うわごとを言う・口内炎・鼻血などの心火亢盛の症状と、イライラ・怒りっぽい・口が苦く感じる・目が赤い・偏頭痛・めまい・耳鳴り・突然の難聴などの肝火上炎の症状が同時に現れます。  

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