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運動器系の漢方薬治療 [漢方薬の知識]

 

腰痛の漢方薬治療

各証タイプに対応した漢方薬は次のとおりですが、日本では入手できないものもありますので、代用できるものを合わせて紹介します。

 

寒湿タイプ:

「苓姜朮甘湯(=腎着湯ともいう)」。一般にこれだけでは効果が少ないため、冷えが強いタイプには温裏散寒薬(炮附子など)を、湿が多いタイプには祛風湿薬(独活など)を加えるなどをして有効性を高めるとよいでしょう。

 

瘀血タイプ:

「身痛逐瘀湯」。日本では「折衝飲」や「疎経活血湯」で代用します。

 

腎虚タイプ:

「右帰丸(→腎陽虚)」「左帰丸(→腎陰虚)」。日本では「活絡健歩丸」や「独活寄生湯」(商標名は各メーカーで異なる)で代用します。

 

 

 

膝痛の漢方薬治療

各証タイプに対応した漢方薬については、日本で製品化されているものを中心に紹介しますので、中国などで煎じ薬として処方されるものとは異なる部分があります。

 

寒湿タイプ:

陽和湯などを応用すべきですが日本にはないので、「五積散」を用います。もし、これだけでは効果が少ない場合は、さらに炮附子などの温裏散寒薬(冷えが強いタイプに対応)や、独活などの祛風湿薬(湿が多いタイプに対応)を合わせて服用するとよいでしょう。ただし慢性化しているために効きが悪い場合は、「独活寄生湯」(商標名は各メーカーで異なる)を用います。

 

湿熱タイプ:

「三妙散」を中心に処方するのが一般ですが、日本には製品化したものがありません。しかし、この方剤を組成する生薬は「蒼朮」「黄柏」「薏苡仁」の3種類だけなので、漢方専門店で蒼朮末・黄柏末・薏苡仁末(蒼朮・黄柏・薏苡仁をそれぞれ粉にした製品)をそれぞれ分封してもらい、それらをいっしょに服用することで対応できます。

 

瘀血タイプ:

「身痛逐瘀湯」を応用すべきですが日本にはないので、「折衝飲」を用い、貧血気味の人は「疎経活血湯」で代用します。瘀熱タイプでは、さらに黄連解毒湯を合わせて服用します。

 

気血両虚タイプ:

「大防風湯」が有効ですが、血の不足が目立つ場合や血行が悪い(瘀血をともなう)場合は、「疎経活血湯」を用いてもかまいません。また、胃腸が弱く内臓下垂などがある場合は、「補中益気湯」と「疎経活血湯」を合わせて服用するとよいでしょう。

 

肝腎不足タイプ:

日本では、腰痛の治療と同様に「活絡健歩丸」や「独活寄生湯」で代用します。

 

 

 

 

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