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婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]


8 帯下病

1) 概略

「帯下(=たいげ)」とは、女性の陰部に分泌する「おりもの」のことで、外生殖器の粘膜を潤し保護する生理的な液体です。通常では、白色または透明で適度な粘り気のある液体ですが、分泌量が異常に増えたり、反対に分泌しなくなったりする場合や、色がいつも黄色くなったりあるいは強い臭いを発するようになるなどの場合は、帯下病として治療の対象になります。

帯下は液体ですから、中医学では津液の一部と考えます。基礎知識のところでも紹介しましたように、津液の代謝や循環は五臓の中の肺・脾・腎を中心にして行われますが、このうち肺は婦人科に対する影響が大きくありません。そのため、帯下は一般に脾と腎の作用によって陰部に分泌されるとすることができます。そのときの分泌経路は、月経血と同様に任脈と衝脈(合わせて衝任脈という)になりますが、月経血と違う点は、任脈と衝脈に対して直角に流れる「帯脈」という経絡が更に働くことです。帯脈には、帯下が過剰に漏れ出さないように、衝任脈を制約する作用が備わっています。しかしこの働きは、腎の貯蔵する作用(「封蔵」という)に従うものであるため、結局帯下に関係する臓腑は脾と腎が中心になることには変わりありません。

 

2) 病証タイプ

概略にあるように、帯下に関与する中心的な臓腑は脾と腎であることから、帯下病の病証は脾腎を失調させる原因によって分類されます。まず実証に属すタイプですが、一般に腎には実証はないとされますので、脾に影響する飲食の不摂生を原因とするものになり、これには「痰湿タイプ」と「湿熱タイプ」とがあります。但し、「痰湿タイプ」の人にストレスが加わって、ストレスの熱化(鬱熱)が痰湿に影響する場合は「湿熱タイプ」に移行します。

帯下病を起こす虚証のうち、脾に関するものは、脾の水液代謝機能(「運化水液」という)の減退を起こしやすい「気虚タイプ」または「陽虚タイプ」です。腎に関するものは、腎の水液代謝機能(「主水」という)の減退と上述の封蔵作用の減退を起こすもので、これには「陽虚タイプ」と「陰虚タイプ」があります。

 

①痰湿タイプ:その人の脾がもつ運化水液作用を上回る量の生ものや冷たい物を飲食したり、湿気の多い環境に長時間いたりすることによって、体内に余分な痰湿が溜まり、これによって白く汚い帯下がたくさん出るようになったのがこのタイプです。

 

②湿熱タイプ:その人の脾がもつ運化水液作用を上回る量の油もの・甘いもの・お酒などを飲食することによって湿熱が体内に溜まり、これによって黄色く臭気が強い帯下が出るようになるのがこのタイプです。人によっては、①のような飲食の不摂生でも、停滞した痰湿がストレスによる鬱熱に影響されてこのタイプになる人もいます。

 

①②のタイプで、帯下以外の全身的な特徴については、基礎知識の「気血津液の実証」を参照してください。鬱熱のタイプの全身的な特徴は、イライラ・目の充血など基礎知識の「肝胆の病証タイプ」にある肝火の症状を伴います。

 

③気虚タイプ:肉体的な疲労などで脾気が消耗し、運化水液作用が減退して、透明な帯下がたくさん出るようになったのがこのタイプです。

 

④陽虚タイプ:疲れると透明な帯下がたくさん出るのがこのタイプの特徴です。このタイプのうち、幼少期から先天的に寒がりで体力がない人や、加齢によって冷えが強まったことによって起こるのが腎の陽虚タイプで、①の痰湿タイプが慢性化して、脾の陽気に影響するようになったものが脾の陽虚タイプですが、場合によって両方が同時に現れる脾腎陽虚というタイプもあります。

 

⑤陰虚タイプ:性行為の過剰や加齢によって腎の陰液が消耗することがありますが、これによって帯下の量が少なくなり、陰部を潤すことができなくなったのがこのタイプです。まれに、高熱が長く続いて全身の潤いが失われた人の中にも、それが腎の陰液に影響してこのタイプになる人がいます。

 

③④⑤のタイプで、帯下以外の全身症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」を参照してください。

 

 

2013年07月11日(木)

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