コンセプト

  • ホーム > 学習コーナー > 臓腑

学習コーナー

臓腑 [東洋医学の基礎知識]

(4) その他の主な臓腑の協調活動 ① 呼吸調節に関与する臓腑(肺・腎) 人体活動のうち呼吸は肺が行っているという認識は一般的なものですが、中医学ではその働きを腎が補佐して深い呼吸が可能になるとしています。この腎の作用を「納気」といい、肺の「粛降(息の吸い込みに関与する作用)」や「宣発(息の吐き出しに関与する作用)」と協調して呼吸活動を行っています。 そのため、通常の呼吸器疾患では肺を中心とした病証が見られますが、慢性化している人や老人などの場合は、腎の納気の衰退を伴う病証(「肺腎気虚」や「肺腎陰虚」)に発展して、吐くときより吸うときの方がつらい(「呼多吸少」という)という特徴的な症状を伴う咳や呼吸困難が現れます。こうした人は呼吸の症状に加えて、さらに腎の精気不足から、夜間の頻尿や難聴・足腰のだるさなどの腎の衰退による症状が見られます。     ② 精と血の相互生成に関与する臓腑(肝・腎) 日本でも通常の言葉として「肝腎かなめ」がありますが、これは人体機能において肝と腎が協調して要の役割を果たしているという中医学の内容とも関連したものです。 腎精は「先天の本」として人間の誕生・成長・老化に深く関与しているため、腎は人体の最も要となる臓腑に数えられます。このことは腎の作用で説明しましたが、腎精が不足しないよう補充する物質の一つとして肝血があるのです。腎に貯蔵されている腎精と肝に貯蔵されている肝血は、どちらかが不足気味なときに相互に変化して補充しあう性質があり「精血同源」または「肝腎同源」と言われており、結果的に肝と腎はそろって人体の要となっているのです。   病証では、肝血虚または肝陰虚の人や、腎精不足または腎陰虚の人は、どちらも慢性化すると相互に影響して、両方の虚弱を伴う「肝腎不足証」や「肝腎陰虚証」に発展することが多くみられます。こうした人には、目のかすみ・爪がもろくなる・筋肉のひきつりなどの肝血虚の症状と、耳鳴り・難聴・足腰の衰えなどの腎精不足の症状が一緒に現れます。   

固定ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

記事一覧へ